この作品が始まる原点としてドキュメント風のアニメを作りたいという話があったんです。打合せの中で押井が「武蔵ってどう?」と、ただ武蔵と言う題材は色々なメディアでやりつくしてる感があったからどうしようって考えてた。そこで、押井から新しい着眼点として馬をキーワードにしてやりたいと提案があり、確かに武蔵と馬の組み合わせは今までないなと。それで、押井が脚本を書くから、後は任せたいと。
この作品のポイントはウンチクと剣劇アクション。ウンチクの部分とドラマの部分とのコントラストをいかにつけるかというのが、課題だと思って。そういう点ではウンチクの3D+資料映像パートとドラマの2Dパート。今回は様々な表現手法を使ってますけど、難しかったのはウンチクをどう理解してもらえるか、語り、資料、実演、シュミレーション、等々いろんな手法を使って試してます。また2Dアニメーションでは、馬ですね。主題となるところだけに馬をしっかりアニメーションで表現すること。これはなかなかハードルが高かった。
この作品でキーになるのは、やっぱり、ウンチク部分とドラマ部分とのギャップ。かわいいウンチクに対して、リアルな剣劇、このミスマッチを大事にしました。
気に入っているキャラは宮本武蔵似の3DCGキャラクター、犬飼喜一(仮)ですかね。ウンチクをずっと言っているだけの親父なんだけど、
なんだか可愛い。それに対して2Dのほうは、中沢さんの格好いいキャラクターでリアルさとケレン、それを追求しました。
3DCGと資料・現地映像によって武蔵の剣の本質に迫り、2Dアニメーションによってケレン味ある武蔵の剣劇を。色んな表現手法によって武蔵の剣の奥にあるものに迫っています。その剣劇には浪曲師国本武春さんが、映像に合わせてニューウェイブな浪曲を入れてます。ファンク調ありロック調有りととても面白い仕上がりとなってます。押井のウンチク劇と僕の音楽劇との融合も楽しんでください。